【前回のおさらい】不平等条約改正と日清・日露戦争
前回は不平等条約の改正と日清・日露戦争という2つの大きな戦争について解説しました。
今回はもう1つの大きな戦争である第一次世界大戦についてまとめます。第一次世界大戦が起きたきっかけや,大戦中の流れ,そしてそのとき日本は何をしていたのかなど分かりやすく解説していきます。
色々な国が混ざってきますが,各国の思惑や背景を意識すれば整理できます!では一緒に確認していきましょう。
明治維新から日清・日露戦争までの流れはこちらから!
日本史をまとめるにあたって,参考にした資料は以下の2冊です。
第一次世界大戦
サラエボ事件
19世紀末からアジアやアフリカの植民地化をめぐって,アメリカやイギリス,フランス,ロシア,ドイツといった列強と呼ばれる国々が対立していました。
そしてヨーロッパのバルカン半島では列強の対立に加え,宗教や民族の争いも重なり,「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれるほど,いつ戦争に発展してもおかしくない状態になっていました。
下の画像の通り,バルカン半島の位置はちょうどアジアとの境目あたりにありますよね。
そのため人種としてはヨーロッパの白人とアジアの黄色人種の対立,宗教ではヨーロッパのキリスト教とアラビア半島のイスラム教,またヨーロッパ内でも西のカトリックと東の正教会の対立がありました。
そして1914年,サラエボ(現ボスニアヘルツェゴビナ)をオーストリアの皇太子夫妻が視察していたときに,セルビア人の青年に暗殺されるという事件が起こりました。これがサラエボ事件です。
これを受けてオーストリアはセルビアに宣戦布告をします。ここにヨーロッパの列強も次々と参戦して,ヨーロッパ全体を戦場とする第一次世界大戦が始まりました。
三国同盟と三国協商
ドイツ,イタリア,オーストリアは三国同盟を結び,オスマン帝国(トルコ)などを含めて同盟国と呼ばれました。
それに対してフランス,イギリス,ロシアは三国協商を結び,連合国と呼ばれました。ちなみにイタリアは後にオーストリアと仲たがいして,連合国側で参戦します。
同盟とはお互いに協力し合うことを書面で約束しもので,協商とは条約や書面に基づかない緩い協力関係という感じです。同盟の方がカッチリしているわけです。
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第一次世界大戦の特徴
第一次世界大戦では様々な新兵器が登場し,被害は非常に大きなものになりました。戦車や飛行機,潜水艦,毒ガスなどが代表的な新兵器です。
また,民間人や女性も兵器の生産のために工場で働くなど,国のすべてを戦争に動員する総力戦となりました。
女性も戦争に大きく貢献したことから,女性に政治に参加する権利(参政権)を求める声を大きくなっていきました。
第一次世界大戦中の日本
ヨーロッパが戦場となった第一次世界大戦ですが,日本は1902年に結んだ日英同盟を理由に連合国側で参戦します。
では日本はどこに向かったかというと,中国に出兵します。名目としては中国の山東半島(画像の緑色のところ)にあるドイツ軍基地を攻撃する,ということでしたが,別にここを攻撃しても戦争には影響ありません。
日本がわざわざ出兵した理由は,ヨーロッパの列強が戦争している間に中国への利権を拡大してしまおうという狙いがあったからです。
二十一か条の要求
中国に出兵した日本は,1915年に中国に対して二十一か条の要求を出します。内容は以下の通りです。
1.ドイツが山東半島に持っている権利を日本に譲ること
2.日本が持つ旅順・大連,南満州鉄道の権利を99年延長すること
当然中国としては認められる内容ではなかったので,第一次世界大戦が終わった後の1919年に,二十一か条の要求の取り消しを求める五・四運動が起こります。
大戦景気
さらにこの時期の日本は,貿易で莫大な利益を得ることができました。
というのも,まず日本が第一次世界大戦の戦場にならなかったこと,そしてヨーロッパに代わって軍需品などの生産を引き受けたからです。
輸出額が輸入額を上回って景気が良くなったことを大戦景気といいます。そして急に大金持ちになる,成金と呼ばれる商人も出てくるようになりました。
成金といえば下の風刺画が有名ですね。明るくするためにお札を燃やしています。
燃やしても困らないくらいお金を持っていることを示していますね。
第一次世界大戦の終結
なかなか決着がつかず長引いていた戦争ですが,中立の立場を守っていたアメリカが1917年に連合国側で参戦したことがきっかけで流れが変わります。
元々アメリカは第5代大統領のモンローが唱えたモンロー主義といって,アメリカとヨーロッパはお互いに干渉し合わないようにしようという考えを持っていました。
それでもアメリカが参戦した理由は,ドイツ軍の攻撃でアメリカ人にも被害が及んだからです。そして1918年についにドイツが降伏して,第一次世界大戦は終結します。
パリ講和会議とベルサイユ条約
1919年にパリ講和会議が開かれ,ドイツと連合国の間でベルサイユ条約を結びました。
そしてドイツは巨額の賠償金の支払い(1250兆円,2010年10月3日に返済完了)が命じられ,さらに植民地もすべて失いました。
また,アメリカのウィルソン大統領が民族自決という考えを主張しました。民族自決とは,どの民族も他の支配や強制を受けずに自主的に決める権利がある,という考えのことです。
これを受けて,ヨーロッパの多くの国が独立を果たしました。
国際連盟の成立
第一次世界大戦という,ヨーロッパ全土を巻き込む悲惨な戦争が起きてしまったことの反省から,ウィルソン大統領は世界平和のための組織を結成しようと提案しました。この組織が国際連盟です。
1920年に国際連盟は成立し,本部はスイスのジュネーブに置かれました。
国際連盟には総会・理事会・事務局といった機関があり,総会では加盟国がそれぞれ平等に1票を持ちましたが,全会一致の原則を取っていたため,反対国が1国でもあると決まりませんでした。
理事会に毎回出席する国は常任理事国といい,日本,イタリア,イギリス,フランスが選ばれ,また日本の新渡戸稲造は事務局の次長に選ばれるなど,国際的な地位を高めていきました。
しかし国際連盟には問題点もいくつかありました。
1つ目はアメリカ,ロシア,ドイツという大国が加盟していないということです。
アメリカは言い出しっぺでしたが,モンロー主義を守るべきという声が国内で多かったため不参加となりました。
ロシアは次回解説をしますが,第一次世界大戦中に国内でロシア革命が起こり社会主義の国となったため不参加,ドイツは敗戦国だったため不参加となりました。
世界的に力を持っている国が加盟していないとなると,国際連盟の力もどうしても落ちてしまいますよね。
2つ目は平和維持軍を持たなかったことです。
どこかの国が侵略行為などをしたとしても,軍隊がないため武力で制裁を加えることができず,ただ文書などで注意をするしかできませんでした。
というわけで,世界平和のため成立した国際連盟でしたが,うまく機能していたかというとそうではありませんでした。結果的に,後に第二次世界大戦も起きてしまいますからね。
ワシントン会議
上述したように不完全な部分も多い国際連盟でしたが,世界平和に向けてしっかり動き始めました。
1921年にはワシントン会議を開いて,海軍の縮小や中国の領土の尊重を決定しました。
これによって二十一か条の要求も取り消しとなり,日本は山東半島を中国に返還し,日英同盟も解消されました。
第一次世界大戦 まとめ
以上が第一次世界大戦のまとめになります。
第一次世界大戦が起きた理由やその流れ,そして第一次世界大戦で戦場にならなかった日本が,国際的に地位を高めていった様子が分かったかと思います。
しかし戦争が終結してからは,徐々に日本の経済に陰りが見えてきます。そして次第に悪い方向へと進んでいくことになります。
次回は,今回説明していないロシアの動きと,日本国内の政治など大正時代の様子をまとめていきます。次回もお楽しみに!
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