<中学歴史解説>明治維新と三大改革

明治時代

【前回のおさらい】戊辰戦争について

大政奉還によって政権を朝廷に返した徳川慶喜でしたが,依然として強大な権力を持っていたため,新政府は改革を邪魔されないためにも旧幕府軍を倒す必要がありました。

それで起こしたのが戊辰戦争でしたね。

戊辰戦争に勝利した新政府は,天皇を中心とした中央集権国家をつくるために様々な改革を実施していきます。

いわゆる明治維新です。その内容を詳しく見ていきます。

幕末と戊辰戦争についてのまとめはこちらから!

日本史をまとめるにあたって,参考にした資料は以下の2冊です。

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明治維新

戊辰戦争に勝利した新政府は,1868年に天皇が神に誓うという形で五箇条の御誓文ごかじょうのごせいもんを発表します。

これは政府の今後の方針をまとめたものになります。

「広ク会議ヲおこ万機公論ばんきこうろんニ決スベシ」が教科書にも書かれることが多いですかね。

内容としては,「会議を開いて話し合いをし,人々の意見を聞いて決定しよう」ということです。

他にもあと4つあるわけですが,簡単にまとめると「天皇のもと日本が繁栄するようにみんなで努力しよう」という感じです。

さらにこのタイミングで,江戸を東京と改称して首都とし,年号も慶応から明治に改めました。

新政府の方針は,天皇を中心とする中央集権国家をつくることです。

ではなぜ天皇(実際に政治を行うのは新政府)に権力を集中させたかったのかということですが,それは江戸時代後半のような藩によってルールも違い,時には藩同士で対立するようなバラバラな状態では外国に敵わないからです。

共通のルールをつくり,国の軍隊をつくったりと,日本という1つの国としてまとまることが,これから外国に対抗していくためには必須のことだったんです。

では中央集権化をするために行ったことを見ていきましょう!

版籍奉還

まず行ったのが1869年版籍奉還はんせきほうかんです。これは大名が治めていた土地(版)と人民(籍)を天皇に返させるというものです。

なぜこんなことを行ったかというと,天皇と大名の関係性が明確ではなかったからです。

明治新政府は戊辰戦争で旧幕府軍を倒し,彼らが支配していた土地を手に入れることができましたが,それ以外の土地はそのまま藩が支配している状態でした。

王政復古の大号令で天皇が主権を取り戻しましたが,各藩に対しての支配権を得たわけではなかったんですね。

そこで新政府の木戸孝允大久保利通らが,倒幕に貢献した薩長土肥さっちょうとひの4藩に土地と人民を天皇に返させました。これに他の藩もならって版籍奉還を行います。

もちろん,ただ土地と人民を返してね,と言うだけでは大名から不満が出るので,明治新政府は大名を知藩事ちはんじという役職に任じて引き続きその地方の支配を任せました。

これで天皇が土地と人民を支配しているという事実が出来上がりました。

また,天皇が人民を支配しているので,藩主と藩士という主従関係もなくなります。そこで新政府は元藩主や公家を華族かぞく,元藩士らを士族と呼ぶようにしました。

ちなみに天皇家の一族は皇族,その他は平民と呼ばれました。

廃藩置県

版籍奉還によって土地と人民は天皇のものとはなりましたが,結局は大名が知藩事という名称に代わっただけで,先ほども書いたように各地方の支配権は知藩事が握っていました。

そのため新政府は全ての藩を廃止して県を置き,各県と東京・大阪・京都には政府が府知事・県令を派遣して管理させるとしました。

そして知藩事は財産などを補償する代わりに全員辞めさせて,江戸に住むことを命じました。これが1871年廃藩置県はいはんちけんです。

当然こんなことをしたら,知藩事からは大きな不満が出るはずです。

場合によっては戦いになる可能性もあるので,新政府はあらかじめ薩摩・長州・土佐藩から兵士を集めたうえで廃藩置県を実行しました。

しかし戊辰戦争によって各藩も力を失っていて,ほとんど抵抗されることもなく廃藩置県は実施されました。こうして明治新政府は中央集権化に成功しました。

中央集権化を達成するために行った五箇条の御誓文の発表から廃藩置県までの一連の改革を,明治維新といいます。

岩倉使節団

廃藩置県の直後に大隈重信の提案で,岩倉具視をリーダーとする岩倉使節団が欧米の国に派遣されました。

目的は不平等条約改正の交渉や,進んだ技術・文化を見て取り入れることです。

主なメンバーは,岩倉具視木戸孝允伊藤博文大久保利通などです。

使節団には留学生も募集されていて,当時6歳の津田梅子もアメリカに渡りました。

津田梅子は津田塾大学を設立して,日本の女子教育に大きく貢献しました。2024年から発行される新5千円札の肖像にも選ばれましたね。

そして国内には,西郷隆盛大隈重信板垣退助井上馨いのうえかおるなどが残り,彼らが明治の三大改革を行っていくことになります。ではその内容を詳しく見ていきましょう。

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学制

まずは教育面の改革です。1872年学制が発布されました。

内容は,6歳以上の男女は全員小学校教育を受けることを義務化しました。

国民の教育レベルを上げることで,産業や軍事面での成長させようという目的です。

しかし子どもが貴重な労働力と考えられていたり,貧しい国民も多いのが現状でした。

さらに学校の建設費が地元の人々の負担だったり,授業料が各家庭の負担だったこともあって,不満や反対意見が多かったようです。

徴兵令

次は軍事面の改革です。1873年徴兵令が発布されました。

内容は,20歳以上の男子は全員兵役の義務を負うということでした。

最初は兵役免除の規定もありましたが,1889年には国民全員が兵役に行くことが決定しました(国民皆兵こくみんかいへい)。

徴兵令の目的は国の軍隊を組織することです。

今までは武士しか戦わなかったり,志願兵を募るということが一般的でしたが,国民全員に兵役を課して近代的な軍隊をつくろうとしました。

地租改正

最後は財政面の改革です。1873年地租改正が発布されました。

内容は,土地を調べてそこの収穫量に応じて価格(地価)をつけ,その土地の所有者(地主)に証明書(地券)を発行しました。そして地価の3%をお米ではなく現金で納めさせるというものです。

地租改正の目的は,政府の税収入を安定させるためです。

今まではお米で納めさせていましたが,それだと凶作のときなどは税収入が少なくなるなど,不安定になってしまいます。

すると政府としても税を何にどれくらい使うかという計画が立てにくくなりますよね。だから現金にして安定化させたわけです。

しかし現金になると今度は農民が困ってしまいます。

凶作でお米がとれなかったとしても,納める税金は毎回同じなわけですからね。

そのため農民からは不満の声が続出し,1877年には税率が3%から2.5%に引き下げられました。

明治維新と三大改革 まとめ

以上が明治維新明治の三大改革のまとめになります。

戊辰戦争に勝利した新政府は,近代化を推し進めるために様々な改革を実施しました。

改革の内容は中学校のテストでもよく出る非常に大切なところです。細かい数字までしっかりと覚えるようにしましょう。

次回は明治新政府の外交について解説していきます。

幕末に結んだ不平等条約の改正に向けて,外交にも力を入れていきますが,その方針を巡って政府内で対立も起きていきます。そのあたりの流れを確認しいていきましょう!

中学校では習わないようなプラスアルファの内容も含んでいますが,高校で習うのでまとめて覚えておくと便利かと思います!

何を学ぶにしても,まずは基本をしっかり理解して土台を作ってあげることです!

この記事を土台にして,そこから自分で調べてさらに積み上げていってください。

また,そこで知った知識を私にも共有してもらえると大変うれしいです!知識はアウトプットすることで初めて定着します。アウトプット相手にも,ぜひこのブログを活用してください!

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