高校の古文において、成績を左右する最大の壁が「助動詞」です。 助動詞の学習は、単に活用表を丸暗記して終わるものではありません。実際のテストや入試では、以下のステップを正確に処理する力が求められます。
古文を読んでいて助動詞を見つけたら、いきなり意味を当てようとしてはいけません。 必ず次の順番で確認するクセをつけましょう。
- 基本形を見抜く(これは何の助動詞か?)
- 上の語との接続を確認する(何形にくっついているか?)
- 下の語との繋がりから活用形を判断する
- 文脈から意味を識別する
この記事では、この「4ステップ」を段階的に鍛えるための全50問の練習問題を用意しました。定期テスト対策から受験の基礎固めまで、一歩ずつ確実に古文読解の力を身につけていきましょう!
問題と解答は以下からPDFで印刷できます。
【高校生向け】古文 助動詞 練習問題 50本ノック(基礎~標準)
大問1:次の各文の太字の語について、助動詞であればその基本形を答えなさい。助動詞ではない場合は「×」と答えなさい。
(1) 花咲かず。
(2) あはれ、いと寒し。
(3) 都へまうで来ば、
(4) いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに、
(5) 花ぞ散りける。
(6) 昔、男ありけり。
(7) 母、子に歌を詠ませけり。
(8) 水飲みつ。
(9) 男もすなる日記といふものを、
(10) 京へ帰りけむ。
大問2:助動詞について以下の問いに答えなさい。
【A】次の助動詞は、直前の語を何形に接続させるか答えなさい。
(11) む(推量・意志など)
(12) けり(過去・詠嘆)
(13) べし(推量・当然など)
【B】太字の助動詞の活用形を答えなさい。
(14) 花咲かず。
(15) あはれ、いと寒し。火桶の火も白き灰がちになりにけり。
(16) なかなか長き夜を、寝ぞそびれたる。
(17) 音に聞くよりは見るめれど、 (18) 思ひてむ。
(19) 月のみやこの人まうで来ば、捕らへさせむ。
(20) 髪のいとめでたくて、長きゆふだすきに結ひたるが、
大問3:太字の助動詞の意味を答えなさい。
【る・らる】
(21) 湯水飲まれず、同じ心に嘆かしがりけり。
(22) 昔のことのみ思ひ出でらる。
【す・さす・しむ】
(23) 母、子に歌を詠ませけり。
(24) 帝、御階の左右に、紅梅桜を植ゑさせ給ふ。
【む】
(25) 心あらむ友がな。
(26) いざ、子ども、野には出でむ。
(27) ただ一度に思ひ念じて射むとすべし。
【べし】
(28) 毎度ただ得失なく、この一矢に定むべしと思へ。
(29) 羽なければ、空をも飛ぶべからず。
【き・けり】
(30) 今は昔、竹取の翁といふものありけり。
(31) あはれ、いとをかしげなる鳥のありけるかな。
【つ・ぬ】
(32) 年ごろ思ひつること、果たし侍りぬ。
(33) 御方々は皆落ち給ひぬ。
【たり・り】
(34) 長きゆふだすきに結ひたるが、
(35) 庭に花咲けり。
大問4:助動詞について以下の問いに答えなさい。
【「ぬ」の識別(完了/打消)】 次の太字が「完了」ならA、「打消」ならBと答えなさい。
(36) 京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。
(37) 時期が来て、ついに花咲きぬ。
【「なり」の識別(断定/伝聞・推定)】 次の太字が「断定(または存在)」ならA、「伝聞・推定」ならBと答えなさい。
(38) 男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり。
(39) 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはすなり。
【「る・れ」の識別】 次の(40)・(41)の太字について、それぞれ助動詞の基本形を答えなさい。
(40) 人に笑はる。 (41) はげしき風吹ける日、
【「に」の識別(完了のぬ/断定のなり)】 次の(42)・(43)の太字について、それぞれ助動詞の基本形を答えなさい。
(42) 火桶の火も白き灰がちになりにけり。
(43) 京にありける人にて、
大問5:次の文章を読み、後の問いに答えなさい。
【文章】
昔、男あり①けり。いと若き時、名高き女に懸想し②き。その女、人を人とも思は③ぬけはひなれば、男、いかがはせ④むと思ひ嘆き、つひにその女に文をやら⑤むと決め⑥たり。 (※懸想す=恋い慕う、文=手紙)
(44) 傍線部①「けり」の意味を答えなさい。
(45) 傍線部②「き」の意味を答えなさい。
(46) 傍線部①と②はどちらも過去を表すが、どのような違いがあるか。「直接」「間接(伝聞)」という言葉を使って説明しなさい。
(47) 傍線部③「ぬ」の基本形を答えなさい。
(48) 傍線部③「ぬ」は直前の語の何形に接続しているか答えなさい。
(49) 傍線部④と⑤の「む」の意味の組み合わせとして正しいものを選びなさい。
ア. ④推量・⑤意志 イ. ④意志・⑤意志 ウ. ④適当・⑤勧誘
(50) この男が「いかがはせむ」と思ひ嘆いている理由を、現代語で簡潔に説明しなさい。

【解答・解説編】
大問1
(1) 花咲かず。
【解答・解説】ず (打消の助動詞)
(2) あはれ、いと寒し。
【解答・解説】× (形容詞「寒し」の終止形)
(3) 都へまうで来ば、
【解答・解説】× (接続助詞の「ば」)
(4) いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに、
【解答・解説】× (尊敬の補助動詞「給ふ」。直後に過去の助動詞「ける」が続いています)
(5) 花ぞ散りける。
【解答・解説】けり (過去の助動詞「けり」の連体形)
(6) 昔、男ありけり。
【解答・解説】けり (過去の助動詞「けり」の終止形)
(7) 母、子に歌を詠ませけり。
【解答・解説】す (使役の助動詞「す」の連用形。「子に歌を詠ませた」という意味)
(8) 水飲みつ。
【解答・解説】つ (完了の助動詞「つ」の終止形)
(9) 男もすなる日記といふものを、
【解答・解説】なり (伝聞・推定の助動詞「なり」の連体形)
(10) 京へ帰りけむ。
【解答・解説】けむ (過去推量の助動詞「けむ」の終止形)
大問2
【A】
(11) む(推量・意志など)
【解答・解説】未然形
(12) けり(過去・詠嘆)
【解答・解説】連用形
(13) べし(推量・当然など)
【解答・解説】終止形 (※ラ変型の活用語には連体形に接続します)
【B】
(14) 花咲かず。
【解答・解説】終止形 (言い切りの形)
(15) あはれ、いと寒し。火桶の火も白き灰がちになりにけり。
【解答・解説】連用形 (完了の助動詞「ぬ」の連用形。「なり」は動詞『なる』の連用形。完了の助動詞『ぬ』は連用形に接続するため、『に』は『ぬ』の連用形になります)
(16) なかなか長き夜を、寝ぞそびれたる。
【解答・解説】連体形 (係助詞「ぞ」を受けて連体形になっています)
(17) 音に聞くよりは見るめれど、
【解答・解説】已然形 (推定「めり」の已然形。下に接続助詞「ど」が続くため)
(18) 思ひてむ。
【解答・解説】未然形 (完了の助動詞「つ」の未然形。「む」が後ろに続くため「て」になります)
(19) 月のみやこの人まうで来ば、捕らへさせむ。
【解答・解説】未然形 (使役・尊敬「す」の未然形。下に推量・意志「む」が続くため)
(20) 髪のいとめでたくて、長きゆふだすきに結ひたるが、
【解答・解説】連体形 (完了・存続「たり」の連体形。下に名詞の代わりの「が」が続くため)
大問3
【る・らる】
(21) 湯水飲まれず、同じ心に嘆かしがりけり。
【解答・解説】可能 (下に打消「ず」を伴う場合は「可能」になることが多いです)
(22) 昔のことのみ思ひ出でらる。
【解答・解説】自発 (「思ひ出づ」「泣く」「笑ふ」などの心情・知覚動詞につく場合は「自発」になります)
【す・さす・しむ】
(23) 母、子に歌を詠ませけり。
【解答・解説】使役 (母が子に「歌を詠ませた」という文脈です)
(24) 帝、御階の左右に、紅梅桜を植ゑさせ給ふ。
【解答・解説】尊敬 (「させ給ふ」全体で最高敬語の意味を表す表現として用いられています)
【む】
(25) 心あらむ友がな。
【解答・解説】婉曲 (む+体言(友)の形は「婉曲(〜のような)」または仮定になります)
(26) いざ、子ども、野には出でむ。
【解答・解説】勧誘 (「いざ(さあ)」と共に使われ、相手を誘っています)
(27) ただ一度に思ひ念じて射むとすべし。
【解答・解説】意志 (「射むとす」=射ようとする)
【べし】
(28) 毎度ただ得失なく、この一矢に定むべしと思へ。
【解答・解説】当然 (「この一矢に定むべし」=「この一本の矢に決めるべきだ」という意味。「~するべきだ」と判断しているので、当然の意味になります)
(29) 羽なければ、空をも飛ぶべからず。
【解答・解説】可能 (「べからず」=〜できない。打消を伴うので可能の打消となります)
【き・けり】
(30) 今は昔、竹取の翁といふものありけり。
【解答・解説】過去 (物語の冒頭の「けり」は過去を表します)
(31) あはれ、いとをかしげなる鳥のありけるかな。
【解答・解説】詠嘆 (「かな」を伴って、目の前の事実について「~だなあ」と感動・詠嘆する意味を表しています)
【つ・ぬ】
(32) 年ごろ思ひつること、果たし侍りぬ。
【解答・解説】完了 (思ひ+つる=完了「つ」の連体形)
(33) 御方々は皆落ち給ひぬ。
【解答・解説】完了 (「給ひ」の連用形に接続。落ちてしまった)
【たり・り】
(34) 長きゆふだすきに結ひたるが、
【解答・解説】存続 (結んで「いる」状態)
(35) 庭に花咲けり。
【解答・解説】存続 (咲いて「いる」状態)
大問4
【「ぬ」の識別(完了/打消)】
(36) 京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。
【解答・解説】B. 打消 (未然形「見え」に接続しているため、打消「ず」の連体形)
(37) 時期が来て、ついに花咲きぬ。
【解答・解説】A. 完了 (連用形「咲き」に接続しているため、完了「ぬ」の終止形)
【「なり」の識別(断定/伝聞・推定)】
(38) 男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり。
【解答・解説】B. 伝聞・推定 (終止形「す」に接続する「なる」は伝聞・推定)
(39) 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはすなり。
【解答・解説】B. 伝聞・推定 (伝聞・推定の「なり」は終止形接続。直前の動詞「あらはす(四段活用)」の終止形に接続しているため)
【「る・れ」の識別】
(40) 人に笑はる。
【解答・解説】る (四段動詞「笑ふ」の未然形「笑は」に接続しているため、受身等の「る」)
(41) はげしき風吹ける日、
【解答・解説】り (四段動詞「吹く」の已然形「吹け」に接続しているため、完了・存続の「り」)
【「に」の識別(完了のぬ/断定のなり)】
(42) 火桶の火も白き灰がちになりにけり。
【解答・解説】ぬ (連用形に接続しているため、完了の助動詞「ぬ」の連用形)
(43) 京にありける人にて、
【解答・解説】なり (体言「人」に接続しているため、断定の助動詞「なり」の連用形)
大問5
(44) 過去
(45) 過去
(46) 「き」は直接経験した過去を表すことが多く、「けり」は伝聞・回想による過去を表すことが多い。
(47) ず (打消の助動詞「ず」の連体形「ぬ」)
(48) 未然形 (打消の「ず」は未然形接続。「思は」は四段動詞の未然形)
(49) イ
【解答・解説】④は「自分はどうしようか」という自問の意志、⑤は「手紙を送ろう」という自分の意志
(50) (解答例)恋心を抱いた名高い女が、人を人とも思わないような冷たい態度をとっていたから。
【高校生向け】古文 助動詞 練習問題 50本ノック(基礎~標準) まとめ
お疲れ様でした!
古文の成績を伸ばす秘訣は、「なんとなく訳す」のをやめて、「なぜその意味になるのか(接続や文脈のルール)」を論理的に説明できるようになることです。 特に第3章以降の「識別」や「実戦問題」で間違えた問題は、解説を読んで「上についている語は何形か?」という接続のルールをもう一度確認しておきましょう。
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